なかつる内科クリニック 晴明町,上京区,京都市 内分泌科・糖尿病科・内科

脂質異常症

脂質異常症について

「脂質異常症」とは、血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪などの脂質が異常値を示す状態のことを言います。

コレステロールは、細胞膜を構成する必須要素であり、ステロイドホルモンの原料としての役割も担っています。また、代謝過程においても重要な役割を果たしており、生体を維持するために欠かせない脂質の一種です。

コレステロールそのものは悪いものではありません。ですが、コレステロールを全身に運ぶ「LDL」というたんぱく質と結びついた「LDLコレステロール」が血中で増えすぎると、血管内に蓄積し、酸化され、動脈硬化を引き起こす原因となります。一方、「HDL」と結びついた「HDLコレステロール」は血中の余分なコレステロールを回収して肝臓へ運んでくれるので、動脈硬化の防止につながります。

以前は「高脂血症」という呼び方をしていましたが、HDLコレステロールは高いほうが良いので最近では「脂質異常症」と呼ばれています。

また、中性脂肪は、体内で余った糖質や脂質が肝臓で作り変えられて、皮下や内臓周辺の脂肪細胞に蓄積されている脂質です。必要以上に中性脂肪が増えると肥満を招きます。さらにはHDLコレステロールが減り、LDLコレステロールは増え、蓄積した内臓脂肪は血圧を上げたり、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きを悪くしたり、血栓を作りやすくしてさらなる病気を呼び寄せてしまいます。

脂質異常症を予防するには食生活に気を付けることが基本となります。糖質や脂質を摂りすぎないことや、特に動物性脂質を多く含む食品(肉類、チーズ、バターなど)を控えることも重要です。その他、青背の魚に多く含まれるDHAやEPA、きのこ類や海藻類に含まれる水溶性食物繊維には、LDLコレステロールを下げる働きがあるので毎日の食事に取り入れましょう。

生まれつきコレステロール値の高い「家族性コレステロール血症」の方は、輸送蛋白であるアポ蛋白やリポプロテインリパーゼの機能低下で血中コレステロール値は高くなります。10~20歳代で心筋梗塞や脳梗塞を起こすこともあるので、食生活に気を付けるだけでなく、できるだけ早く発見して薬物療法を始めることが望ましいです。