高血圧症

高血圧症

高血圧症について

「血圧」とは、「血管壁に与える血液の圧力」のことで、心臓から送り出される血液量(心拍出量)と、末梢血管での血液の流れにくさ(末梢血管抵抗)によって決まります。心拍出量が大きくなれば血圧は上がり、血管抵抗が小さくなれば血圧は下がります。

心臓は、収縮と拡張を繰り返すポンプのような働きをすることで血液を送り出しています。心臓がぎゅっと縮むと血液が体内に押し出され、押し出された血液によって血管壁には圧力がかかります。これを「収縮期血圧」と言います。反対に血液を送り出した後は心臓が拡張して血液が戻り心臓は拡張します。この時、血管壁にかかる圧力は低下し、これを「拡張期血圧」と言います。 生活習慣や遺伝的素因は血圧の上昇に大きく影響します。温度差やストレスなどで自律神経が働くことによる血管収縮や、コレステロールの蓄積による血流の悪化などにより、末梢血管の抵抗が大きくなると血圧が上がります。また、塩分の過剰摂取により血中で増加したナトリウムを薄めるために、血液量が増加し、その結果高血圧を招きます。

健康的で若々しい血管は、弾力がありゴムのようにしなやかですが、高血圧が進行すると血液の圧力に耐えるために血管壁が厚くなり、そのしなやかさや弾力性が失われて硬くもろくなってしまいます。また、血管が傷付くとその隙間から「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールが入り込んで溜まりやすくなり、「プラーク」というコブが形成されるなどして内腔が狭くなるのでさらに血液の流れが悪くなります。このような状態を一般的に「動脈硬化」といい、心臓や脳、腎臓の病気を引き起こす原因となるので、高血圧を放置することは非常に危険です。

心臓に血液を供給している冠動脈が動脈硬化を起こすと、血流が悪くなって狭心症を起こし、詰まって血流が途絶えると心筋梗塞を起こします。また、脳では動脈硬化により、脳出血やくも膜下出血、脳梗塞などを発症し、腎臓では腎不全の原因となります。

高血圧には、原因となる明らかな病気を持たない人に起こる「本態性高血圧」と、特定の病気のせいで起こる「二次性高血圧」があります。一般的に高血圧というと本態性高血圧のことを指し、高血圧の原因の8~9割を占めています。はっきりとした原因は分かっていませんが、遺伝的素因と生活習慣が重なって発症すると考えられております。高血圧のリスクが高まる生活習慣としては、塩分の過剰摂取、過食、肥満、アルコールの過剰摂取、カルシウムやカリウムの摂取不足、喫煙、ストレス、運動不足などが挙げられます。両親が高血圧でも、生活習慣に気を付けることで高血圧を予防することは可能です。 一方、二次性高血圧は腎臓や内分泌の機能の異常が原因で起こり、主な疾患は原発性アルドステロン症や腎性高血圧、腎血管性高血圧、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能亢進症・低下症です。二次性高血圧は、原因となる疾患を治療することで完治させることが可能な高血圧症です。35歳以下の人が発症する高血圧では4人に1人が二次性高血圧なので、若い人で肥満もなく血圧が高い場合は早めに医療機関を受診し、病気を見逃さないようにしましょう。